「エティエンヌ・シュヴァリエの時禱書」 大商人でシャルル7世の財務長官にもなったエティエンヌ・シュヴァリエ（？〜1474）のために1450年代初期に制作された。現在は主要な挿絵のみが切り取られ、全部で47枚（シャンティイに40枚）が残されている。
室内空間の表現にイタリアの透視図法が使われている。キリスト伝・聖人伝は、当時のフランスの風景の中で特定可能な人物が登場している。「マギの礼拝」のマギの一人はシャルル7世、「ヨブと3人の友人」ヨブはヴァンセンヌ城館近くの路傍に横たわり、「聖女アポロニアの殉教」の聖女は聖史劇の登場人物となっている。

世界美術大全集10　ゴシック2　1450年代
十字架を担うキリスト　聖マルティヌス

ヨブと3人の友人（部分） 下図は世界美術大全集　小学館
聖女アポロニアの殉教　下左　モノクロ
「エティエンヌ・シュヴァリエの時禱書」より
フーケ　1452〜60年頃　写本装飾　16×12cm
フランス　シャンティイ　コンデ美術館

「ヨブと3人の友人」挿絵 信仰の試練を受けたヨブがすべての財産を奪われ、熱病に冒され、堆肥の山にもたれている。見舞いにきた友人が彼の信仰が固いことをあざ笑う場面。 朝日百科　世界の美術